ICTを当たり前の選択肢のひとつに

0

セミナー、講演会 | 2020年07月04日 | 759 views | Posted by harnya

先日、東洋大学社会福祉学科の先生方にお声かけいただき
「自粛生活中の障がいのある人たちにICTができること」という
オンラインシンポジウムで、登壇させていただきました
今回のコロナ禍で遅々として進まなかったオンライン化、リモート化、ICT化が拍子抜けするほどのスピードで進みはじめました。その中で障がいのある方たちはどうされていたのか?
 
今回の私のお話しのテーマは
「ICTをあたりまえの選択肢のひとつに」としました。
 
20分という限られた時間内でのお話しだったので、かなりかけ足で、早口でキュルキュルキュル・・という感じになりましたが、息子たちとの自粛中の様子をまじえ、ICTを暮らしの中で活用していくことについてお話ししました。
 
後日、当日の資料とまとめが公開されるということなので、資料の公開はそちらにお任せするとして
 
当日お話し足りなかったことも含め、今回お話ししたテーマについて記事にしたいと思います。
 
まずICTとは何か?
「Information and Communication Technology(情報通信技術)」
 
 
私にとっての暮らしの中での障害のある方へのICTの活用はまさにこの2つがメインです
 
「情報」と「コミュニケーション」
 
その支えとなるICTが暮らしのなかで「あたりまえの選択肢のひとつ」になってほしいと思い、これまであちこちでお話しさせていただいてきました。
 
定型発達、健常の人に使いやすいように設計された世の中を少しでも暮らしやすく工夫していくことを伝えるのがICTの大きな役割ではないかと思うのです。
 
ここでいう「情報」は「情報格差を埋めること」です
 
私は2人の知的障がいを伴う発達障害の息子たちと一緒に暮らす毎日です。
定型発達、健常と呼ばれる人たち向けに設計された社会の中で、本人目線で世の中を見てみると「情報格差」が一番深刻だと感じています。
もちろんICTの役割のもうひとつ「コミュニケーション」もしかりです
 
「自分が理解できる情報が提供されていてる環境で暮らす」
「使いやすい方法でコミュニケーションをする」
 
たったこれだけのことを実現するのが、とてつもなく大変な環境なのです。
 
それは小さなお子さんや外国人、高齢の方などにも言えますが
知的障害のある方もそういう環境に置かれているということはなかなか理解してもらえません。
 
車イスの方が階段を昇れない
聴覚障害の方には音声のアナウンスは聞こえない
高齢の方にタブレットをつかった注文形式は使いづらい
小さな子供にお店の高いところの商品は届かない
 
そんなことは想像しやすいのですが
 
知的障害のあるうちの息子たちに
 
漢字やローマ字で表記されている看板や案内、メニュー
「音声」のみで行われる接客
暗黙の了解で交わされるやりとり、距離感、ルール
 
それが使いづらく、理解したり活用するのは難しいということはなかなか分かってもらえません。
 
その人に理解してもらえる情報を提供し、使いやすいコミュニケーションの方法でやりとりする。
それが難しいのです。
でも、今は「情報」に関しては膨大な量になっていて、正直、多すぎますよね。
 
いらない情報を受け取らないというのは、私自身も心がけていますし、息子たちに関しても
「その人が必要だと思う情報」を「格差を埋めて提供する」が私の中で大原則でもあります。
 
「これを知っておきなさい」
という押しつけの情報はいらない場合も多いのです。
 
コロナの情報も追い続けていけばいくらでも追えます
テレビをつければ怖い情報もたくさん流れてくるのでしょう。
それをすべて伝える必要を私は感じていません。
 
本人が知りたい情報
本人の暮らしに直接影響のある情報
 
だけでいい場合もあります。
 
「みんな外出するときはマスクをしています。あなたもしなさい」
「家に帰ったら手洗いをしなければいけません」
 
だけでは情報として足りていませんね
2,3歳の小さい子なら
「ママのいうことなら~~~」
って聞いてくれるかもしれませんが、そうでないのなら
 
「なんで????」
「マスクなんて苦しいし顔にかかって不快だし、したくない」
「手洗いはご飯食べる前だけだったんじゃないの?」
となる場合が多いと思います。
 
そこではじめて新型コロナウイルスの情報が必要になるわけです。
 
今はありがたいことに
そういうイラストなどもネットで検索するとすぐに見つかります
 
ーーー
コロナウイルスというのが流行っています
安倍首相も「緊急事態宣言」というのを出して
みんなでコロナウイルスが広がらないように気を付けましょう
ということになっています。
 
だから外に出るのは少なくして、
外に出るときはみんなマスクしています。
ーーー
 
それをイラストをまじえ、
LINEも使い
安倍首相の会見の写真も使い
実際に外を見て、みんなマスクしている様子も見てもらい
息子たちに理解してもらいました。
ICTには情報格差を埋める強力な力があるのです。



 
 
私が息子たちに行ったコロナ対策はこれだけです。
 
普段から、同じようにICTもアナログも活用して
 
本人が知りたい情報
本人の暮らしに直接影響のある情報
 
を伝えていく工夫をしているので、
 
長男は10月頃なら行けるかも?な旅行を楽しみにしているし
もともと集団が苦手な次男はおうち生活を満喫しています
 
そして外に食べに行ったり買い物したりが大好きな長男も今はそれがあまりできないと理解した後は
「おかあさん あんたぎ」
とLINEして来て、もう何年も作っていなかった
沖縄のサーターアンダギーを作ってくれとリクエストしてきたりと
状況に合わせて頭の中で色々と考えて、自粛生活を楽しむ工夫をしているようです。

本人に掲載の許可を得ています
 
そんな様子を見ていると
強制的な過度な情報を受け取らない
ということの大切さもしみじみ感じます。
 
テレビが一日中ついていることで受け取ってしまう恐ろしい情報
全く制限されていないタブレットを触っているうちに転げるように危ない情報にたどり着いてしまったYouTube
雑談をしたかっただけなのに、色々なものに巻き込まれていくSNS
 
情報を得ることが簡単だからこそ、あっという間に過度な領域にもなってしまう面もあるのです。
 
最新技術を追うことは私個人の興味の方向なので続けていくと思いますが、
息子たちとの暮らしにそこは求めていません。
ツールありきになってしまうのが最も本末転倒な結果になりますし。
 
必要な情報と使いやすいコミュニケーション
 
その実現のためにもICTを地道に活用していく方法について、今後も息子たちと一緒に考えていきたいと思います。
 
PS
人権意識という言葉について最近よく考えます
 
障がいのある方について
あなたもいていいよ
ではなく
どんなひとも当たり前にいる世の中
 
私の整体サロンには
赤ちゃんから80代の方まで
そして障害のある方もない方も、美容目的の方もいらっしゃれば
まっすぐ歩くだけでツラいお身体の方も
会社の社長さんもいらっしゃれば生活保護で暮らしていらっしゃる方も
大家族の方もいらっしゃればひとり暮らしの方も
本当にいろんな方がご来店されます。
 
息子たちが生まれて
「自閉症」「知的障がい」というものにはじめて向き合い
20年を超えて一緒に暮らしてきましたが、
今となっては息子たちに障がいがあるということについては悩むことは一切なくなりました。
悩みがあるとしたらそれは障がいがあるからではなく
「音声チックで行ける場所が限られる。どうしたらいい?」
「過敏があって学校が苦手。ならどう学ぶ?」
という風に、障がいそのものではなく、
「今そこにある困りごと」
なんですね。
 
結局悩みはあるわけですが、診断当初
「障がいがある」ということ自体に悩んでいた私と今の私の心境は大きく違います。
 
定型発達に近づけるのではないのです。
それは人権侵害です。
高齢者に向かって「子どものように動け」と言っているようなものです
目が悪い人に向かって「メガネなしで暮らせ」とか
犬に向かって「猫になれ」と言っているようなものです。
 
障がいがあること、それは
定型発達、健常のひととくらべて少数派であることにすぎない。
 
そこを理解した上で暮らしを工夫していく
それこそが
「あなたはあなたのままで」
ということだと思っています。
 
 
その人自身を定型発達に近づけるために成長させるということと
定型向けの社会で暮らすための工夫を身に着けていく
は違うのです。
 
ICTを活用していく上でもそこを忘れずにいたいと思います
 
 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3000円からのオンラインITアドバイス

随時申し込み受付中です。

詳細はこちら

 

 

ーーーーーーーー
著者紹介
 
三宮華子(はーにゃ)
 
東京都練馬区在住
 
ふたりの自閉症の男の子の母親
 
沖縄出身
 
スマホ、タブレット活用について等、講師として各地で講演
 
高齢者センタースマホタブレット教室講師
 
整体師
 
障害のある方のためのタッチケア「おうちdeタッチケアぐるーみん」考案者
 
好きなゲームは「ピクミンシリーズ」「トルネコの大冒険」ゆるされるならアラフィフの今でも2晩くらい連続でできる自信あり。
 
好きな食べ物は梅干し、沖縄そば
 
特技は物忘れ、スマホ料金の安さ追求(FP3級持ち)
 
こよなく「自由」を愛する自由人
特に秋葉原に行くとディープなところに雲隠れして見えなくなります
 
夫はキートンコムの開発三宮直也 沖縄の海よりも広い心で、自由な妻を放牧してくれる優しい夫
 
使っているガジェット:iPhoneX、GalaxyNote8、iPad、ロボホン、AmazonEchoShow、パソコンはWindows
 
極真空手初段
 
高校までの教員免許ももってたりしますが、まったく使えたためしなし

 

この記事のタグ: , , , ,
あわせて読みたい関連記事