活動レポート | 2012年05月20日 | 6,483 views | Posted by vochkun
5月16日〜18日に東京ビッグサイトで開催された教育ITソリューションEXPO(EDIX エディックス)に参加してきました。
第3回目となる今回は出展企業550社、来場者18,000人を数えるアジア最大級の学校向けIT専門展になったとのこと。「教育の情報化」が大きな成長分野であることがうかがい知れます。
つくば市のICT教育の取り組み
イベントの最終日におこなわれた、つくば市のICT教育事例を紹介するセミナーに参加しました。つくば市では市内全ての小中学校に電子黒板を導入するなど、ICT教育を積極的に推進しています。
ICTの「C」は通常「Communication(通信・伝達)」の頭文字ですが、つくば市では「Community(協同)」「Cognition(思考・判断力)」「Comprehension(知識・理解力)」も合わせた「4C」を掲げ、子どもたちが主体的に学習に取り組めるような環境づくりを目指しているそうです。
例えば、米国の協力校とネット回線で結んで英語の授業をおこなったり、タブレット端末を使った課外授業では、採取した植物に関する質問を博物館の先生に直接TV電話でたずねたりと、まさにICTのメリットを最大限に活かした授業例が紹介されていました。
「デジタル化された授業」と聞くと、なにか冷たい印象を受ける人もいるかもしれませんが、映像で紹介された生徒達はとにかく楽しそうでイキイキとしていました。中でも圧巻だったのは「プレゼンテーション」を取り入れた授業。電子黒板をフル活用した小学生のプレゼンが上手いこと!この中から将来「TED」に出場する子どもたちが出てきそうな予感さえしました。
デジタル化のメリットを享受するのは生徒だけではありません。デジタル化されることで、授業の準備を余裕を持っておこなえる、授業の進行がスムーズなので生徒とじっくり向き合える時間が増える、など先生の側にも大きなメリットがあると言えそうです。
ゲーム感覚の授業スタイル「FLENS」
首都圏を中心に学習塾を展開する湘南ゼミナールでは、シャープ製のタブレット端末を83校舎2,000台導入し、大きな効果を上げているとのこと。
その中身も実にユニークで、オンライン対戦ゲームの要素を取り入れた「FLENS算数特訓」を新たに開発。校舎を超えて大勢の生徒が一斉に計算問題をおこなう「リアルタイム対戦形式」の学習を授業に取り入れることで、子どもたちのモチベーションアップに繋げているそうです。
これは盛り上がりそうですねー。個人の成績が各校舎毎のランキングにも反映されるので、校舎内での連帯意識が深まる効果もあるそうです。
私も実際に端末を触らせてもらいましたが、スタイラスペンによる手書き文字の認識も実にスムーズで、十分に実用的なレベルでした。テレビ東京のワールドビジネスサテライトで取り上げられたときの映像がこちらから閲覧できます。
注目の学習ハードウェア・コンテンツ
その他、各ブースを回っていて個人的に気になったものを抜粋してご紹介します。
東芝のブースでは、「REGZAタブレット」を使ったハンズオンセミナーがおこなわれていました。未来の教室といった雰囲気ですね。
Z会が提供する「デジタルZ」はパナソニック製のAndroidタブレットに対応した小学生向けのデジタル通信講座です。タブレットの特徴を活かした楽しい教材が毎月配信されるとのこと。現在は英語のみですが、今後は科学など他の教科にも対応していくそうです。
システムクリエイトのブースで展示されていたのは三次元プリンタ「BFB 3D Touch」。高性能でありながら低価格なのが人気を呼び、多くの教育機関に導入されているとか。現在は工学系やデザイン系の大学・専門学校が中心とのことですが、小中学校の図工や美術の授業で使ったら子どもたちも喜びそうですね。
リコーのブースでは超短焦点プロジェクタ「IPSiO」が展示されていました。「RICOH TAMAGO Presenter」というiPadアプリを使えば、Wi-Fi経由でプロジェクタに映しだすことはもちろん、他のiPadと資料を共有したり、ページめくりを同期することができます。10台以内であればサーバなど特別な設備も不要ですし、アプリ自体は無料で使えるので、ちょっとした会議やセミナーで活用できそうです。
|
全体の印象について
という感じでハードウェアを中心に盛りだくさんの教育ITソリューションEXPOでしたが、一方でコンテンツ系の出展が少ないのが少し残念でした。やはり大手メーカーのための展示会といった印象がありますね。
出版社やソフトウェアメーカーなどコンテンツ系の会社がもっと出展してくれたらと思いますが、その辺は6月に開催されるNew Education Expo、7月に開催される東京国際ブックフェア/電子出版EXPOに期待したいと思います。
この記事を書いた人:
Naoya Sangu @vochkun