コミュニケーション支援の基礎知識&おすすめアプリまとめ

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スマホ活用術/アプリ紹介 | 2013年02月27日 | 55,814 views | Posted by vochkun

 2月16日(土)に神奈川県大和市にて、AT(アシスティブ・テクノロジー)とタブレット端末を使った支援についての講習会をおこないました。

 この講習会は、NPO法人ピコピコさんが主催する「特別支援ヘルパー養成講座」全7日間のプログラムのうち、2日目の「福祉情報技術とICT活用支援」を私が担当させてもらったものです。

 当日は大和市在住の8名の支援者の方にお集まりいただきました。ご参加ありがとうございました!

コミュニケーション支援について

 今回の講習会では、テクノロジーを使ったコミュニケーション支援についてお話をさせてもらいました。ポイントとなるのが「AT」「AAC」「VOCA」の3つのキーワードです。

(画像は当日の資料より抜粋)

【 AT 】

 AT(Assistive Technology;支援技術)は、障害がある人の困難の軽減や代替を目的としたテクノロジー全般のことです。「福祉技術(用具)」「テクノエイド」とほぼ同義に使われることもあります。上記のスライドでは、例として電動車いす、拡大読書器、ノイズキャンセリング機能付きヘッドフォンを紹介しています。パソコンやケータイも使い方によっては障害がある人の生活を便利にする道具ですので一種の支援技術と言えますね。

【 AAC 】

 AAC(Augmentative and Alternative Communication;拡大代替コミュニケーション)は、コミュニケーション能力に障害のある人が、本人の残存能力(言語・非言語問わず)とテクノロジーの活用によって、自分の意思を相手に伝えることです。ノンテク(表情、サイン、身振り手振りなど)、ローテク(文字盤、絵カードなど)、ハイテク(VOCAなど)があります。

 ちなみに上記のスライドで使われているピクトグラム(JIS絵記号)もコミュニケーション支援や視覚支援に使われるシンボルのひとつです。

【 VOCA 】

 VOCA(Voice Output Communication Aids;音声出力会話補助装置)は、自分の意思を相手に伝えるために使用する、音声出力機能を備えた装置のことです。上記は市販されている製品の画像です。どれもボタンを押すことで予め録音された音声を再生する装置ですが、それぞれ特徴があります。ビックマックは1つの音声だけを登録しておくことのできるVOCAです。スーパートーカーは最大8つの音声を絵カードを使って分かりやすく登録しておくことができるVOCAです。トーキングエイドは、使用者がキーボードを使って言葉を入力するタイプのVOCAです。

 上記の3つ用語の関係を示したのが下図です。「AT」と「AAC」の重なる部分に「VOCA」が含まれる、という感じでイメージしてもらえればと思います。

コミュニケーション支援に使えるアプリ

 コミュニケーション支援に使えるiPhone/iPadアプリをまとめました。

コミュニケーション支援アプリ
Voice4u JP (iPhone/iPad) 絵カードベースのVOCA
ねぇ、きいて。 (iPhone) カードを組み合わせて2語文が作れる絵カードベースのVOCA
DropTalk (iPhone)
DropTalk HD (iPad)
カードの種類が豊富な絵カードベースのVOCA
かなトークMini (iPhone)
かなトーク (iPad)
文字盤ベースのVOCA
トーキングエイド for iPad テキスト入力版STD (iPad) 文字盤ベースの多機能VOCA
絵カード・コミュニケーション (iPhone) カードの追加登録が便利なVOCA
筆談パット (iPad) 2人で向い合って筆談をするためのアプリ

 上記は障害のある方が使用することを前提としたアプリですが、広く一般に使用されているアプリの中にも使い方によっては便利なものがあります。

 例えば、標準のメールアプリ、Gmail(メール)、LINE(音声通話・チャット)、いまカエル(定型文をボタン1つで送信できるメール&Twitterクライアント)などです。

  • 仕事効率化, ソーシャルネットワーキング
  • Google, Inc. – Google, Inc.
  • 全てのバージョンの評価: (2,057件の評価)
App + iPhone/iPadの両方に対応
LINE (無料)
  • ソーシャルネットワーキング
  • NAVER Japan Corporation – NAVER JAPAN
  • 全てのバージョンの評価: (36,723件の評価)
App
  • ライフスタイル, ソーシャルネットワーキング
  • Takuya Murakami – 卓弥 Murakami
  • 全てのバージョンの評価: (4件の評価)
App

(2013.3.2追記)LINEを使ったコミュニケーション支援の記事をこちらにアップしました。

 コミュニケーションに困難さを抱えている人の支援をおこなう上では、ノンテク・ローテクの支援に加えて、上記のアプリをうまく組み合わせることで、コミュニケションの機会が大きく広がる可能性があります。

コミュニケーション支援をする上で大切なこと

 テクノロジーを使ったコミュニケーション支援の一つとしてiPhone/iPadアプリを紹介しましたが、結局のところコミュニケーションは「人と人との気持ちの繋がり」だと思っています。

 例えば、あなたが海外旅行に行ったときのことを想像してみてください。慣れない英語で現地の人に何かを伝えようとしたとき、その人が「はぁ? なに言ってるのか全然わかんない」という態度を返してきたらどうでしょうか? あなたは自信を失ってしまうのと同時に、伝えようとする気持ちが失せてしまうのではないでしょうか。

 非常にアナログ的な話ですが、まわりの人達の受け取り方や態度、こういった部分が実は一番大切なんじゃないかと思っています。

 以上、参考になりましたら幸いです。

この記事を書いた人:
Naoya Sangu @vochkun プロフィール詳細

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