子育て/療育情報 | 2012年11月22日 | 8,015 views | Posted by vochkun
今回ご紹介する書籍『発達障害の子を育てる本 ケータイ・パソコン活用編』は、今年の9月に講談社から発刊されたばかりの新しい本です。
私もさっそく買って読んでみましたが、ケータイ、スマホ、パソコン等のツールを使った支援に関する入門書として、とても素晴らしい内容でしたので、ぜひ多くの人に知って欲しいと思います。
どんな人が読むべきか
この本は下記に該当する人にオススメです。
- 発達障害のある子どもや、学習に困難のある子どもを持つ保護者
- パソコンやタブレット端末の教育的利用を検討している学校の先生や支援者
特に、ケータイやスマホを支援ツールとして学校に持ち込みたいけど、学校側にどう説明し、どう理解を得たらよいのか分からないといった保護者の方にはとても参考になると思います。
また、私自身も保護者の方からよく聞かれる質問として
- 「子どもにケータイやスマホを持たせたら、ゲームばかりで遊んだり、裏サイトを見たりしないか?」
- 「iPadを使って勉強させたら読み書きの力が伸びないのでは?」
といった問に対しても分かりやすく解説されていますので、その辺の課題点が気になる保護者や、私のように既に支援活動をおこなっている人にも参考になる内容がたくさんありました。
この本の監修をおこなっているのは、東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍さんと近藤武夫さんの両先生ということで、かなり本格的な内容なのですが、決して堅苦しい感じではなく、イラスト中心の分かりやすい構成となっています。誰でも気軽に読めるのもオススメポイントですね。
なぜテクノロジーを使った支援をするのか?
この本では「ツールをどう使うのか?」よりも「なぜ使うのか?」について重点が置かれています。
発達障害がある子どもの支援としては、視覚的にわかりやすいように環境調整をおこなったり、ABA(応用行動分析)などの個別療育をおこなったりと様々な支援方法があります。
では、テクノロジーを使った支援をおこなうことに、どんな意味があるのでしょうか。
現代は情報化社会と言われるほど、様々なツールが身の回りにあふれており、社会人になったらケータイ・パソコンは使えて当たり前の世界です。
ですので、子どものころからツールの使い方に慣れておけば、一生使えるスキルになります。さらに、使い方によっては応用範囲がどんどん広がっていくのも情報ツールのメリットでしょう。
テクノロジーを使うのは、決して楽をするためではありません。その子にとって努力だけではどうにもならない事をサポートするために使います。ツールを使うことで、苦手なことに延々を時間を費やすのを回避できれば、何か別の重要なことに時間を使えるようになります。
それによって、いままで出来なかったことが出来るようになれば、自信がつきますし、活動範囲が広がれば、得意な事や好きな事に出会える可能性も広がります。
「テクノロジーを使うことで、活動範囲を広げ、楽しく充実した生活をおくること」これは私の支援活動の目標でもあります。
発達が心配なお子さんに対して、パソコンやiPhone/iPadなどを使った支援をこれから始めてみたいという方にとって、「なぜ使うか」「どう使うか」を分かりやすく解説してくれる本書は、間違いなくオススメの一冊です。
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