活動レポート | 2011年07月25日 | 6,331 views | Posted by vochkun
7月17日に早稲田大学でおこなわれた国内最大規模のAndroid関連イベント「Android Bazaar and Conference 2011 Summer(ABC 2011 Summer)」に参加してきました。
主な目的は「日本Androidの会 福祉部」のカンファレンス発表を聴講するためです。
「日本Androidの会 福祉部」とは、その名のとおり障害を持つ方やご高齢の方など、何らかのサポートを必要としてい方たちの為にAndroid端末を積極的に活用していこう!という有志の人たちの集まりです。
先日、NHKで放送された「福祉ネットワーク ~ ぼくの気持ちを伝えたい」で福祉部の活動が取り上げられていましたが、そのときから大きな関心をもっていましたので、今回のイベントはまさにタイムリーでした。
福祉部のセッション発表にて
まず始めに福祉部の世話人である三輪さんより、これまでの活動報告や福祉アプリの紹介がありました。そのときに紹介されていた主なアプリは次のとおり。
Check a Toilet
┗多目的トイレの情報共有(Webサービス/iPhone)
らくらくおでかけネット
┗バリアフリー情報付き乗り換え案内サイト(Webサービス)
IPPITSU 8/2R(イッピツ ハチニアール)
┗タッチパネルでの点字入力支援アプリ(Android)
つたえたいことば
┗発達障害者のためのコミュニケーション支援アプリ(Android)
Voice4u
┗発達障害者のためのコミュニケーション支援アプリ(Android/iPhone)
お話のなかで印象的だったのは「福祉アプリを開発することは、ハンデキャップを持つ人のためだけでなく、全ての人にとって暮らしを良くする事に繋がっていく」という部分です。
これはまさにユニバーサルデザインの考え方ですね。私自身も発達障害児を対象としたアプリの開発をおこなっていますが、その仕組みやノウハウは、発達に遅れがない子どもや高齢者の方の支援にも十分に応用できるのでは?と思っています。
その後おこなわれた対談では、「IPPITSU」の考案者である長谷川さんや「IPPITSU 8/2R」の開発担当である武藤さんなどが福祉アプリの開発秘話や今後の展望などを話してくれました。その中で武藤さんが「開発者として一番大事なのは、対象者が実際に使っている場面に立ち会うこと」と言っていました。これを怠ると単に開発者の自己満足だけの製品になってしまう危険性があるとのこと。
また、最後に福祉部の方がおっしゃっていた「障害を抱えて生活する苦労は一般の人にはなかなか伝わりにくいが、開発者が理解者になってくれる事ほど心強いものはない」という言葉が印象的でした。私もそんな開発者になれたら、と改めて思いました。
福祉部のブース展示にて
ブースでは、点字入力支援アプリ「IPPITSU」を実際に触ってみることができました。
IPPITSUでは、0~7の数字が描かれた数字盤の上を指でなぞることで文字の入力をおこないます。目が不自由な人にとって、画面内のある1点をピンポイントでタップするのは難しいが、相対的に指を動かすのは比較的容易であることから、このような入力方式を考案されたとのこと。なるほど!という感じですね。
私自身は点字についてまったく予備知識がなかったのですが、教えてもらったとおりに指を動かすとサクサク文字入力ができました。この軽快な動きを実現するのにも相当苦労されたようです。
ということで、私自身も開発者として、また障害を抱える家族を持つものとして、今後は微力ながらお手伝いができればと思い、このたび福祉部に入会させてもらいました。今後ともよろしくお願いします!
おまけ:他のブース展示について
もちろんABC2011では福祉部以外のブースも数多く展示されていました。どのブースも開発者として非常に興味を引くものばかり!
鳥人間さんが制作された飛行石の展示。レーザーで国際宇宙ステーションの位置を指し示しています。なんかよく分からないけど、とにかくスゴイ!
これは世界文鳥会議 Android支部さんによるペットの遠隔監視システム。外出中にペットの様子をみることはもちろん、ボタン1つでエサをあげることもできるます!
上記はGAPSISのこちらの記事に掲載された動画ですが、Bluetooth対応のAndroid用ジョイスティック「Zeemote」です。アクションゲームをプレイするときに持ってこいですが、体が不自由な人の入力デバイスとしても使えそうです。
この記事を書いた人:
Naoya Sangu @vochkun