支援 | 2016年04月26日 | 4,795 views | Posted by harnya
はーにゃです
「聴覚優位に視覚支援?その2」の続きです。
聴覚優位の長男には
「自閉症には視覚的支援」
というのがどうも合わない気がして、
試してみては
「やっぱり違う?」
試してみては
「う~ん、やっぱり見ないよね」
と視覚支援からどんどん遠ざかり、すっかり
ほぼ
「声からの指示」
「バーバルなコミュニケーション」のみ
になっていた我が家の育児。
当時、学校でも同様に
「支援級は原則音声言語での指示です。そうじゃないと本人が社会に出てから困りますよ」
と言われていました(最近はずいぶん変わってきましたね)
そうだよね、そうだよね。本人のためにも良くないよね
と
私もますます音声言語のみでの育児に拍車をかけていました。
朝の学校の準備も
「ハンカチ持った?」
「ご飯早く食べないと」
「そろそろ時間だよ」
帰ってきても
「そろそろご飯だよ」
「お風呂はいっておいで~」
「洗濯物干して~」
「寝る時間だよ」
「宿題して」
と声をかけます。
長男はとっても素直に声に反応して動いてくれます。
では長男からの私へのコミュニケーションは?
「あいす」
「ポテト」
「こうえん」
など、単語1語が多いですが、自分の要求を言葉で伝えてくれます。
その他には
私「ハンカチもった?」
長男「はんかちもった」
私「洗濯物干して」
長男「せんたくほして」
私「薬のんだの?」
長男「くすりのんだの?」
私「わかりましたか?」
長男「はい!!」
私「散歩に行きたい人!」
長男「はい!!」
以上です。。。
どんなに思い出しても、こういうやりとりしかありませんでした。
あ!!他にもあった
「トイレいきます」
「お布団ゴロンするね」
「おかわりするね」
「お水のむね」
こういう「承認」を求める言葉もたくさんありました。
うん、ほんとにこれで以上です。
食べたいもの、行きたい場所等の「要求」
それ以外のほとんどは「おうむ返し」か「パターンとして覚えただけの返事」
行動の「許可」を得るための言葉
こだわりになっているやりとりを繰り返すだけの言葉
それだけでした。
でも私はそんな状況に何の疑問も感じていませんでした。
息子は重度の知的障害で自閉症
まわりの人の言うこと聞いて、ちゃんと行動には許可を得て
動けるようにならなきゃいけない
と思っていた。。というか、そういう話しばかり聞いて来たから。
それにそんな彼と関わる私は「楽ちん」なんですよ。
言えば動いてくれる(何の準備もいらない)
拒否や拒絶もまずない
行動する時には報告もしてくれる
「自閉症」の診断を受けた頃は色々と大変だったけど
「育児の大変さは超えた~~ラクになった~」
と穏やかに私の横で過ごしてる長男を見て思ったものです。
やっぱりその当時の自分に会えたら でっかいタライを頭に落としたいです。
しかし、その状態は長く続きませんでした。
そんな長男が小5になった頃から様子が少しずつ変わってきたのです。
まず、何年も前にしなくなったと思っていた
「自傷」
が復活!
自分の頭をポカポカたたいて何かに対しての怒りを表すようになりました。
そして、ふとした拍子に
「泣く」
ようになっていきました。
それもワンワンと大声で。
・・・・・
・・・・
そうです。
自閉症の長男にも
「思春期」
がおとずれたのです。
今まで
軽く指示するだけで動いていた長男。
そこは変わらず、動いてくれるのですが
しばらく時間がたった後に
「ゴンゴン」
と頭をたたく。
急にワンワンと泣いて止まらなくなる
訳が分かりませんでした。
もちろん何が嫌だったのか長男にたずねます
私「どうしたの?」
長男「どうしたの?」
私「何が嫌なの?」
長男「なにがいやなの?」
私「言わなきゃ分からないよ」
長男「いわなきゃわからないよ」
ポカポカ、ゴンゴン!!!
私「頭たたかないよ」
長男「頭たたかないよ」「うわ~~~~ん!」
そしてしばらくして落ち着くと
長男「ゴンゴンはしない。丸!!!」
とまた私に「承認」を求めてきます。
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・
・・
・
・
私は愕然としました。
散々「言語訓練」もしてきました。
「赤い果物は?」に
「りんご」
と答えることはできても
「何が嫌なの?」
に答える術を長男は何一つ持っていないのです。
頭ゴンゴンするしか表現方法がないわけです。
私は何をしてきたんだろう。。。
背筋が凍る思いのする思春期のはじまりでした。
つづく
きもちぺったんボード制作部ひっきーさんのブログに使い方など随時掲載中