活動レポート | 2011年09月01日 | 9,897 views | Posted by vochkun
夏休みも終わりに近づいた8月末、都立の特別支援学校でおこなわれた教材展示会にいってきました。
個別学習用の教材について
特別支援教育の現場では、集団での学習時間以外に個別学習の時間があります。それは児童によって障害の種類や能力(得意な事・苦手な事)が大きく異なるためで、子ども一人ひとりに合った学習課題を取り組むための時間となります。
そのとき活躍するのが個別学習用の教材です。これは本当にユニークな教材がたくさん登場します。
今回の展示会でも先生達が工夫を凝らして作成した「オーダーメード教材」が100点以上展示されており、いずれもABAの個別療育用の教材としても十分通用しそうな質の高い教材ばかりでした。
こちらは1~3までの数を学習するための課題。数字と数量の対応を3ステップで学習できるように工夫されています。
こちらはお金の使い方を学習するための教材。子どもの大好きなドーナツを題材にお買い物シミュレーションをおこないます。
こちらは単語学習用の教材で、絵のシートをローラーの中に入れて、つまみをクルクルまわすと、正解の名称が書かれたシートが出てきます。
これなんか「単語帳のようにカードの裏表に書けば効率的じゃねーの?」と思うかもしれませんが、なぜそうしないかと言うと「それだと面白くない」からです。
この「本人が興味をもって楽しみながら学べるかどうか」が非常に重要な要素で、無理矢理やらされた「詰め込み学習」では、なかなか知識が身に付きません。これは発達に遅れのない子どもの場合でも同じことが言えます。
「学習の中にどうやったら楽しい要素を盛り込めるか」が教材制作のキモと言えますが、それは今の私の研究課題でもあります。
アナログ教材 vs デジタル教材
私自身はiPhone/iPadなどの情報端末を活用した学習教材の研究開発をおこなっていますが、モノを手で触った時の質感などはリアルな教材でないと得ることはできません。特に小さな子供にとって「触覚」はとても大切な感覚です。
一方でデジタル教材の場合は、子どもの能力や好みに合わせて簡単にカスタマイズできたり、収納場所に困らない、どこでも持ち運びが可能、といった大きなメリットがあります。
今後、学校教育の現場においては、アナログとデジタルの「いいとこ取り」の学習が広がっていくのではないかと思っています。