「意思決定」と「正解」

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子育て/療育情報 | 2017年04月08日 | 5,719 views | Posted by harnya

はーにゃです

 

最近、よく思うことなんです

「意思決定」と「正解」

 

スマホやタブレット、そして支援グッズを使ったりして

「選択してもらう」

いわゆる

「意思決定」

これは本当に暮らしの基本中の基本。

 

最初はなかなかうまくいかなくても、段々とできるようになり、

 

自分から表現できるようになっていく

 

つまり

「自発での意思決定」

 

「今日はどこにいきたい」

「これは嫌だ」

「こうしてほしい」

「これはしてほしくない」

「何を食べたい」

そんな日ごろの小さなことから

「誰と暮らしたい」

「進路をどうする」

「貯金したお金をどう使う」

「どこに住む」

などのように大きな決定まで。

 

 

そんな大きな決定じゃなくても

 

「自発での意思決定」

ここに大きなハードルがある方達がいます。

 

「いや」

が言えない。表現できない。

 

「本当はこっちがいい」

が言えない。表現できない。

 

「こうしたい」

が言えない。表現できない。

 

でも

「どっちがいい?」

と選択肢を提示するとわりとすんなり選択してくれる

 

人によっては即答レベルで選択してくれる方もいる。

 

でも

なかなか「気持ち」を自発で表現できない。

 

そして、実は選択してくれたことに関しても

 

「これ、本心なのかな?」

と思える選択が見受けられる。

 

 

そしてそして、そういう傾向のある自閉症の方に共通するのが

 

「療育をがんばってきた」

ということ。

 

 

 

思うのです。

彼らは

「気持ち」を選択しているのではなく

「正解」を回答しているのではないかと。

 

障害の軽い、重いは関係なく

 

人とのコミュニケーションが上手にできない彼らは

 

常に「正解」を教えられてきた。

 

「この車の色は?」

「黒」

 

 

「これは何?」

「りんご」

 

「なんていうの?」

「ありがとうございました」

 

「次は何するの?」

「おふろにはいる」

 

「人をたたくのはいいこと?」

「悪いこと」

 

・・・・

・・・・

 

・・・

・・・

 

 

「りんごとバナナどっちがいい?」

「りんご」

 

「どの学校に進みたい?」

「○○」

 

 

そんなにすんなり本心が表現できるだろうかと。。。

その選択は、たずねた人の顔を見ながら

「正解」を回答しているのではないのか?と

 

私は2人の自閉症の息子がいますが、

長男は小さいころからずっと療育を猛烈にがんばってきました。

 

意思決定をしてもらおうにも知的にも重く、言葉も少ない彼には難しいと思い、

せめて、、と

 

タクト、マンド、イントラバーバル

 

こちらから質問して、それに「回答」

というやりとりを、それはそれはたくさん机上でも生活の中でもやってきました。

 

当然ながら

「質問されたら『正解』を回答する」

が身についていきました。

 

一見、自発の意思決定のように思える「マンド(要求)」も

やはり、こちらが言ってほしいことを環境をコントロールしながら教えていきます。

 

思春期に入ったころ、

何度も何度も挑戦しては「まだ難しい」と先送りにしてきた

「意思決定」に本気で取り組みはじめてもう数年になります。

 

本人の気持ちを表現してもらえるようになるまで

長い時間がかかりました。

 

最初の頃は

「土曜日、どこに遊びに行く?」

と選択肢を提示しても、私の顔を見ながら選ぶ。

 

確実に

「これが正解だよね」

ということです。

 

「本心」を表現してもらいたいのに

「正解」を答えようとする、、、

 

そんな状況にイライラする長男の姿もありました。

正解を求められてるってまだ感じていたのだと思うのです。

 

そこからスタートして、

「正解」じゃなくて「あなたの気持ち」を選んでもらう

 

その切り替えは簡単ではありませんでした。

そしてそれはまだ道半ばでもあります。

 

 

 

指示待ちは本当に本人、苦しみます。

 

 

 

逆に、小さいころから意思決定をしつづけてきた次男は

どんな表現よりも

「いや」が上手です。

 

それで大変なことも確かにありますが、

彼は彼の年齢なりの暮らしを主人公として過ごしています。

 

「明日はどうする?」

「今は決められない。明日考える」

 

「何食べる?」

「餃子。あ、、やっぱりピザ」

 

「音楽は嫌い。消してください」

 

「それ言わないで!」

 

「もう逃げる!!!」

 

「車で待ってる」

 

「留守番してる」

 

「お母さんがやってよ」

 

一見、わがままに聞こえるかもしれませんが、

彼の言い分を可能な限り聞いているので、彼もこちらの言い分を聞いてくれます。

 

でも、
この人は自分の言い分を聞いてくれない

と感じた人には、一瞬で見抜き

ガラガラ!!!とシャッターをおろします(笑)

 

彼はきっと、お互いに言い分を聞きあえる間柄の人間関係が築ける環境を選んでいけると思っています。

 

 

ただでさえコミュニケーションがむずかしい彼らとの貴重な関わり。

 

正解を回答する

 

に偏りすぎないようにしたいです。

 

 

小さいころからの意思決定、どうか大切にしてほしいです

 

タブレットやアナログの支援グッズを使った意思決定が

少しずつ広がりをみせていますが、

疑似体験の時に

「タイムタイマーアプリをどう使ってみたいですか?」

と私から質問すると、一番多い答えは

「これが鳴ったらゲームをやめること」

なのです。

 

 

それでは、テクノロジーを使ってご本人の生活を支えるはずが

「大人がいうことを聞かせるための道具」となってしまいますね。。

 

そういうことに気付く視点もたいせつだと思うのです。

 

長期休みは

意思決定してもらうことに親が腹を決める

またとない期間だと思います。

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