活動レポート | 2012年06月20日 | 6,781 views | Posted by vochkun
6月16日(土)に中村橋福祉ケアセンターにてスマートAT研究会主催「障害のある子どものためのiPad勉強会」がおこなわれました。
当日は10組22名のご家族・支援者の皆さまにご参加いただきました。ありがとうございました。
今回は障害の種別を限定せずに参加者を募集しましたが、ほとんどの参加者が知的障害・発達障害がある子どもの保護者もしくは支援者だったため、下記のようなプログラムで講義とワークショップをおこないました。
〜 前半:講義 〜
1) 10分で覚えるスマートフォン基礎講座
2) iPadを使った支援について〜 後半:ワークショップ 〜
3) じっさいにさわってみよう
4) みんなで知育ゲーム大会
5) うごく絵本の読み聞かせコーナー
6) 学習&生活支援アプリをつかってみよう
7) 本日のまとめ
スライドは以前こちらで公開したものを若干修正して使用しました。
親子勉強会で気を付けていること
親子を対象としたセミナーをおこなうのは今回で4回目になります。子どもと大人のどちらにも満足してもらうにはどうしたら良いか、まだまだ模索をしている段階ですが、いくつか気を付けたいポイントが見えてきたので、それについて書こうと思います。
(1)リラックスして参加できる環境作り
子連れで参加する際に、パパさん・ママさんにとって一番の心配事は「子どもが落ち着いて参加してくれるかどうか。途中で騒いだり泣いたりしないか」ではないでしょうか。
うちの子も演劇や映画鑑賞の途中で急に騒ぎ出し、抱えるように退出した経験が何度もあるので、その気持ちはとてもよく分かります。
ですので、まずはお子さんがリラックスして参加できるような環境作り。それから、もしお子さんが多少騒いでも全然OK!という雰囲気作りを目指しています。
まず会場ですが、会議室より和室の方がいいです(理想をいえばウレタンマットが敷いてあるプレイルームがベストですが)。和室にローテーブルを置いて、その上でiPadを操作してもらう感じです。
和室のいいところは、お子さんが座ったり、寝そべったり、ごろごろしたりと、自由な体制で参加できることです。会議室のパイプ椅子に長時間座るのは大人でも苦痛でしょう。
また、万一、子どもがiPadを落としてしまっても、畳の上であれば破損することはまず無いです。この点でも和室がいいですね。
ただ、実際に会場を借りるとなると、そもそも和室がなかったり、和室はあってもプロジェクタが使えなかったりするので、その場合は、会議室の一部にレジャーシートを敷くなどして、子どもが自由にくつろげるスペースを用意してあげると良いと思います。
あとはセミナーが始まる際に「入退出いつでもOK」「子どもが騒いでも気にしない」「席の移動も自由。ただし、ゆっくり歩く(走るとコケたり、ぶつかったりして危険なので)」と一声アナウンスしてからスタートします。
(2)「障害」という言葉をあまり使わない
参加者の中には「うちの子は少し発達が遅れているけど、将来大丈夫だろうか」と不安を感じている保護者の方や、保護者の方は受容済みでも、それをお子さんに告知をしていないケースがあります(特に高機能自閉症やアスペルガー症候群の場合)
そういう人たちに対して、いきなり「障害者」という言葉を使うとショックを受けてしまうかもしれません。
そもそも私は「障害者」「健常者」という区別した呼び方は普段から使いませんが、特に子どもが参加するセミナーでは表現に気を付けるようにしています。
(3)テクノロジーを押し付けない
そもそも私のセミナーに参加してこられる方は、iPhone/iPadなど新しいデバイスに関心のある人達なので、あまり心配はないのですが、中には「テクノロジー」と聞くと、なにか冷たい印象を受ける方もおられます。また、IT支援をする上で「子どもにiPhone/iPadを買い与えればそれで終わり」という分けではもちろんありません。
なので、「テクノロジーはあくまで手段の一つ」「本人の気持ちに応えることが大切」「導入後の継続的なケアが重要」ということを、参加者の皆さんに必ず伝えるようにしています。
以上、参考になりましたら幸いです。
スマートAT研究会について
今回のセミナーを主催した「スマートAT研究会」は、練馬区を中心に活動をしていたパソコンボランティア、情報支援コーディネータ、障害児の親などが発起人となり設立された団体です。設立にあたり、私もいろいろお手伝いさせてもらいました。
次回のイベントは今のところ未定ですが、今後も障害のある子どもや家族、成人当事者、教育関係者を対象に、iPhoneやiPadなどのスマートデバイスを使ったセミナーやワークショップを開催していく予定です。
予定が決まりましたら、当ブログや私のTwitterでも告知しようと思いますので、今後ともよろしくお願いします。
この記事を書いた人:
Naoya Sangu @vochkun